TEAPとは? TEAP CBTとは?
TEAPとは Test of English for Academic Purposes の略称で、大学入試に利用できる英語の4技能を測る試験です。年に複数回受験することができ、点数が出るため、英検のように合否があるというわけではありません。取得したスコアによっては、一部の大学入試で活用することができます。
一方でTEAP CBTとは、従来の紙ベースで行なわれてきたTEAPの発展系として、コンピューターを用いて行なう形に開発された試験です。このCBT(Computer Based Testing)試験は、これまでにもTOEFLやGTECで導入された経緯があります。コンピューターを用いるため映像と音声を同時に見聞きすることになり、現実の状況に近い試験になるといわれています。
TEAPとTEAP CBTの違い
TEAPとTEAP CBTの違いを以下にまとめています。
TEAP | TEAP CBT | |
測定技能 | 4技能 (Reading、Lisning、 Writing、Speaking) |
4技能 (Reading、Lisning、 Writing、Speaking) |
受験形式 | 紙媒体 | コンピュータ |
所要時間 | 約200分 Reading:70分 Listening:約50分 Writing:70分 Speaking:約10分 |
約200分 Reading:約80分 Listening:約40分 Writing:50分 Speaking:約30分 |
スコア | 400点満点 Reading:100点 Listening:100点 Writing:100点 Speaking:100点 |
800点満点 Reading:200点 Listening:200点 Writing:200点 Speaking:200点 |
実施日程 | 年3回(7月、9月、11月) | 年1回(10月) |
試験レベル | CEFR A2~B2 英検 2級~準1級レベル |
CEFR A2~B2 英検 2級~準1級レベル |
受験料 | 4技能(R、L、W、S):15,000円 3技能(R、L、W):10,000円 2技能(R、L):6,000円 |
4技能(R、L、W、S):15,000円 2技能(R、L):6,000円 |
スコア有効期限 | 2年間(取得翌年度および翌々年度の 大学入学に利用可能) |
2年間(取得翌年度および翌々年度の 大学入学に利用可能) |
TEAPの試験構成:配点や問題形式など
TEAP、TEAP CBTともに、試験の内容や難易度に大きな差はありません。大学や留学で遭遇しそうな場面をもとに作られており、そのような意味ではTOEFLに似ているといえるでしょう。ただしTOEFLで出題されるほどレベルの高い専門用語は登場しないので、あくまで通常の大学入試対策をしておけば充分に対応することができます。
また、従来のTEAPで出願する場合には4技能それぞれで基準スコアを超える必要がありますが、TEAP CBTでは総合得点のみで判定されるため、得意な技能を活かして総合得点の基準スコアをクリアすれば出願が可能になるという違いもあります。
いずれの試験も試験時間が長く、かなりのスピードが要求されますので、集中力を持続させる必要があります。また、ゆっくりと時間をかけて問題を解く癖のある人、模試などを受けたときにいつも時間が足りなくなるという人は、TEAPでは時間切れになる可能性が高いといえます。その反面、下線部和訳など複雑な英文を解釈する精読力はあまり要求されないので、従来の大学受験との違いに留意しておくことが重要です。
試験の概要は以下の通りです。
■TEAP
(1)リーディング(問題数:60問、試験時間:70分、満点:100点、形式:マークシート)
大問 | 問題形式 | ねらい |
Part 1 (20問) |
語彙・語法 | 大学での授業や資料・文献などを理解する上で 必要とされるアカデミックな語彙力 |
Part 2A (5問) |
図表の読み取り | 授業や資料・文献などにおける視覚情報の理解と それに基づく類推 |
Part 2B (5問) |
提示・Eメールなどの 読み取り |
学業に関わる掲示・Eメールなどにおける情報の理解 |
Part 2C (10問) |
短い英文の読み取り | 教材や資料・文献などにおける パラグラフ単位の英文理解 |
Part 3A (8問) |
長い英文の読み取り | 教材や資料・文献などにおける英文の文脈や 論理の流れの理解 |
(2)リスニング(問題数:50問、試験時間:50分、満点:100点、形式:マークシート)
大問 | 問題形式 | ねらい |
Part 1A (10問) |
短い会話の聞き取り | 学生として遭遇する可能性の高い相手との やりとりの聞き取り(例:教授、 アカデミック・アドバイザー、 留学生など) |
Part 1B (10問) |
短い英文の聞き取り | 講義(ミニ・レクチャー)や報道情報などの聞き取り |
Part 1C (5問) |
短い英文の聞き取り | 図表の理解と組み合わせた英文の聞き取り |
Part 2A (9問) |
長い会話の聞き取り | 学生として遭遇する可能性の高い相手との やりとりの聞き取り(例:教授、 アカデミック・アドバイザー、留学生など) ※2者間だけでなく、3者間のやりとりも含む |
Part 2B (16問) |
長い英文の聞き取り | 授業・講義などの聞き取り(図表も含む) |
(3) ライティング(問題数:2問、試験時間:70分、満点:100点、形式:解答用紙への記入)
大問 | 問題形式 | ねらい | 試験の特徴 |
Task A (1問) |
課題文の 要約 |
説明文・評論文などの 要約を書く。 |
論説記事などを読み、 70語程度の要約を 作成します。 |
Task B (1問) |
エッセイ | 複数の情報(図表も含む)に 基づいてエッセイを書く。 |
複数の情報源(図表を含む)から 論点を読み取り、それらを統合した うえで自身の考えを200語程度で 展開することが求められます。 |
(4)スピーキング(問題数:4問、試験時間:10分、満点:100点、形式:Examinerとの1対1の面接方式)
大問 | 問題形式 | ねらい |
Part 1 (1問) |
受験者の生活に関する質問 (質問は複数) |
受験者自身のことについて説明する。 |
Part 2 (1問) |
受験者がExaminerにインタビュー (ロールプレイ型) |
対話における効果的なやりとり (対話のリード) |
Part 3 (1問) |
ひとつのテーマに沿ったスピーチ | 与えられたテーマに関して、 まとまりのあるスピーチをする。 |
Part 4 (1問) |
Q&A(質問は複数) | 与えられた話題に関する質問に答える。 |
■TEAP CBT
(1)リーディング(問題数:50問、試験時間:80分、満点:200点、形式:コンピューターによる択一選択方式(一部、ドラッグ/ドロップにより解答する問題を含む))
問題数 | 問題形式 | ねらい | |
Part 1 | 20 | 語彙 | 大学生活や授業で必要とされる アカデミックな語彙の知識 |
Part 2 | 11 | 大学で扱う書類やポスターなどの 読解(短い英文) |
大学生活で遭遇する短い掲示物・ Eメールなどの内容理解 |
4 | 大学で扱う書類やポスターなどの 読解(長い英文) |
大学生活で遭遇する長い掲示物・ Eメールなどの内容理解 |
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Part 3 | 4 | 図表の読み取り | 授業で扱う教材や資料・文献に 含まれる図表の内容理解 |
9 | 教科書や文献の読解(長い英文) | 授業で扱う教材や資料・ 文献の内容理解 |
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1 | 大学でのデータベースを想定した 文献の検索と読解【ICT問題】 |
複数の文献からの 必要な情報の取り出し |
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1 | 教科書や文献の読解(イラストと テキストの対応づけ)【ICT問題】 |
授業で扱う教材や資料の情報をもとに 具体的画像(具体例)の分類 |
(2)リスニング(問題数:36問、試験時間:40分、満点:200点、形式:コンピューターによる択一選択方式)
問題数 | 問題形式 | ねらい | |
Part 1 | 12 | 大学での事務手続きや アナウンスの聞き取り(短い英文) |
大学生活で遭遇する短い会話・ アナウンスの内容理解 |
6 | 大学での事務手続きや アナウンスの聞き取り(長い英文) |
大学生活で遭遇する長い会話・ アナウンスの内容理解 |
|
Part 2 | 11 | 授業やディスカッションの 聞き取り(短い英文) |
短い講義やディスカッション、 音声教材の内容理解 |
6 | 授業やディスカッションの 聞き取り(長い英文) |
長い講義やディスカッション、 音声教材の内容理解 |
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1 | 授業の聞き取り(動画による授業) 【ICT問題】 |
視覚情報をともなう講義の 内容理解 |
(3)ライティング(問題数:5問、試験時間:50分、満点:200点、形式:コンピューターの解答エリアへのタイピング)
問題数 | 問題形式 | ねらい | |
Part 1 | 1 | メッセージ作成課題 (発信) |
短いメッセージ(発信)を書く |
1 | メッセージ作成課題 (応答) |
短いメッセージ(応答)を書く | |
Part 2 | 1 | 大学での事務文書 作成課題 |
大学での事務的な掲示物・配布物・メールなどを 読み、それに対して文章を書く |
Part 3 | 1 | 図表描写課題 【統合型問題】 |
図表に含まれる情報を理解して、要点を書く |
Part 4 | 1 | 要約・意見課題 【統合型問題】 |
アカデミックな文章を読み、講義を聞いて、 それらを要約し、自分の意見を書く |
(4)スピーキング(問題数:8問、試験時間:30分、満点:200点、形式:ファシリテーターとのオンライン面接方式)
問題数 | 問題形式 | ねらい | |
Part 1 | 3 | 質疑応答課題 | 自分に関する短い質問に応える |
Part 2 | 2 | ロールプレイ課題 | 大学生活でよくある会話をする |
Part 3 | 1 | 矛盾点指摘課題 【統合型問題】 |
文章を読み、それとは異なる内容を示すグラフ・ 表を見て、文章との矛盾点を指摘する |
Part 4 | 2 | 要約・意見課題 【統合型問題】 |
講義を要約し、それに関連する内容に 関して自分の考えを述べる |
試験の特徴について
■試験の実施方法
従来のTEAPが紙媒体のテストであるのに対し、TEAP CBT(Computer Based Test)はパソコンを使用するという点が大きな違いです。試験会場で指定されたパソコンの前に座ってヘッドセットを装着し、パソコンの指示に従って試験を進めていきます。
またTEAP CBTのライティングではキーボードを使って英文を書かなければならないため、キーボードの操作に慣れておいたほうが断然有利になります。スピーキングは、オンライン英会話のように面接官と会話をします。この点において、パソコンに音声を吹きこむTOEFLやGTECのCBTスピーキングテストと異なり、通常の面接に近い試験といえます。
CBT試験では、次の問題に進む場合はクリック操作を行なうので、やり方がわからないと操作を間違えてしまうなど、ペーパー版にはないトラブルが起こる可能性があります。下記のオフィシャルサイトのサンプル問題は、次の問題へ移るマウス操作なども含めて、本番さながらの模擬問題を体験できますので、必ずこのサンプル問題をひと通り解き、操作方法を理解したうえで受験に臨みましょう。
TEAP CBT 無料体験:https://www.eiken.or.jp/teap/cbt/demo/
■試験の難易度
試験のレベルとしては、一般的には英検2級から準1級といわれています。しかし英検に比べると問題数がかなり多いのが特徴です。そのため速読力が不可欠です。逆に文法問題はほとんどありません。
大問1は4択問題となっていますが、事実上語彙や語法を問う問題形式となっており、いわゆる関係代名詞や動名詞などといった文法の単独問題は出題されないといってよいでしょう。もちろん、ある程度の文法力がなければ長文を正確に読むことができないので学習はしなければいけませんが、一部の難関大学で出題されるような、難易度の高い文法問題、特に整序問題や誤文訂正問題などを解く必要はありません。
下はCEFR、英検、TEAP、TEAP CBTの比較対応表となっていますので、その目安を把握しておきましょう。
CEFR | 英検 | TEAP | TEAP CBT |
C2 | |||
C1 | 1級(2810~3400) | 400 | 800 |
B2 | 準1級(2596~3200) | 334~399 | 600~795 |
B1 | 2級(1780~2250) | 226~333 | 420~595 |
A2 | 準2級(1635~2100) | 150~225 | 235~415 |
A1 | 3~5級(790~1875) |
■大学受験でのメリット
TEAPは大学入試で利用できる場合があります。ほとんどが私立大学ですが、一部の国公立大学においても、ある得点を超えればセンター試験を満点に換算するなどといった優遇措置が取られています。たとえば金沢大学では、TEAPの得点が264~304点(4技能)で、センター試験の英語の得点を80%~100%に換算する(304点以上はすべて100%)とされています。
その他、推薦入試で活用できる、一般入試で得点が加算されるなど、大学によってさまざまです。また現在採用されていない大学でも、今後採用されていく可能性は充分にありますので、TEAPを受験しておくに越したことはないでしょう。詳しくは下記のホームページをご確認ください。
TEAP採用大学:http://www.eiken.or.jp/teap/group/list.html
(参考)
公益財団法人 日本英語検定協会|TEAP|問題構成・見本問題
公益財団法人 日本英語検定協会|TEAP|TEAP CBT|問題構成
英語4技能試験情報サイト|資格・検定試験CEFRとの対照表