目次
- はじめに
- 概要
- 試験日
- 試験科目・試験範囲・試験時間・解答形式
- 配点
- 出題の傾向と特徴(概要)
- 出題の傾向と特徴(詳細)
- 力学
- 電磁気学
- 熱力学
- 波動
- 原子
- 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
- 教科書内容の確認
- 基礎問題で解法をインプット
- 標準問題でアウトプットの練習
- 過去問を用いた演習
1. はじめに
愛知医科大学は、愛知県愛知郡長久手町にある私立医科大学です。昭和46年に医学部のみの単科大学として創設された歴史を持ち、ドクターヘリを有することでも広く知られています。アドミッションポリシーには以下のような記載があり、地域医療に貢献できる人材も求めています。
愛知医科大学医学部は,豊かな人間性を備え,常に医学の進歩に対応して高度の知識・技術を体得できる医師を養成することを目標としています。あわせて,地域医療に奉仕し,医学・医療における国際貢献にも参画できる医師の育成に努めています。
【求める学生像】
・医学への強い志向と学習意欲を持つ人
・医学を学ぶために必要な基礎学力と問題解決能力を備えた人
・人間性と教養が豊かで,倫理的価値判断に優れた人
・協調性を持ちコミュニケーション能力に富んだ人
・誠実で常に努力を怠らない人
(引用元:愛知医科大学|医学部 入学試験一覧)
2. 概要
2.2 試験科目・試験範囲・試験時間・解答形式
(試験科目・試験範囲)
・英語:コミュニケーション英語I・コミュニケーション英語II・コミュニケーション英語III・英語表現I・英語表現II
・数学:数学I・数学II・数学III・数学A・数学B(数列、ベクトル)
・理科:「物理基礎・物理」「化学基礎・化学」「生物基礎・生物」の3科目から2科目選択
(試験時間)
1次試験
9:30〜11:10 理科(100分)※2科目選択
12:30〜13:50 数学(80分)
14:40〜16:00 英語(80分)
2次試験
・面接
・小論文(60分)
(解答形式)
・英語:マークシート方式
・数学:記述・論述式
・物理:記述・論述式
・化学:記述・論述式
・生物:記述・論述式
2.3 配点
1次試験
・英語(150点)
・数学(150点)
・理科(200点)
2次試験
・小論文(5段階評価)
・面接(5段階評価)
2.4 出題の傾向と特徴(概要)
解答時間は理科2科目で100分、解答形式は記述式です。2015年度までは10年以上、力学、波動、電磁気学から各1題ずつの大問3題の構成でしたが、新課程になって2年目の2016年度はプラス原子分野から大問1題の計4題が出題されています。2018年度からは試験時間が120分から100分に短縮された影響で大問数は3つに戻りました。2018年度もこの形式でしたが、今後も出題傾向が変わる可能性は大いにあると言えます。
難易度は標準的な問題がほとんどですが、設定が目新しいものが多く問題文の内容を的確に把握できないと正解にたどり着けません。しっかりと問題文の内容を把握し、自分が知っている解法をいかに適応するかが鍵となります。また、複数の単元が融合された問題が多く出題されているので、常に他分野との関連を意識しながら学習していく必要があります。
3. 出題の傾向と特徴(詳細)
3.1 力学
毎年第1問で出題されています。近年出題されたテーマは「2物体の衝突」「大きさのある物体にはたらく力のつり合い」「あらい面を持つ物体上をすべる小物体」「電車内の斜面上を運動する物体」「液体の入った容器内での棒にはたらく力のつり合い」「斜面上にあるばねにつながれた物体」などです。「2物体の衝突」では重心から見た運動を考えさせる設定や、2次元的な衝突でしかも特定の区間にのみ摩擦が存在するという設定の問題などが出題されています。「衝突」「摩擦」「大きさのある物体にはたらく力のつり合い」「斜面上での運動」が愛知医科大学の物理におけるキーワードとなっています。
3.2 電磁気学
毎年第3問で出題されています。近年出題されたテーマは「抵抗、コイルを含む直流回路」「コンデンサー」「磁場中を運動する荷電粒子」「電場内を運動する荷電粒子」「電流計と電圧計」「磁場中を運動する導体棒」「点電荷が作る電場、電位」などです。典型的な問題が出題されている一方で、見慣れない設定の問題も出題されています。例えば2015年度に出題された「コンデンサー」に関する問題では、帯電したコンデンサーを液体の中に入れ荷電粒子を落下させる設定による出題がありました。2014年度に出題された「磁場中を運動する荷電粒子」に関する問題では、運動する観測者から荷電粒子を観測するので静電気力がはたらくように見える、という設定による出題がありました。
3.3 熱力学
募集要項に明記されているわけではありませんが、ここ10年以上出題されていません。2016年度入試に原子分野からも出題されるという変更がありましたが、その際にも熱力学分野からの出題がなかったことを考えると出題される確率は低いと思われます。しかし、出題された場合のことを考えて問題集の標準問題までは理解し、確実に解けるようにしておきましょう。
3.4 波動
毎年第2問で出題されています。近年出題されたテーマは「ドップラー効果」「三角波」「虹」「レンズ」「回折格子」「気柱の振動」「光の反射」などです。「虹」に関する問題では副虹についても問われました。「回折格子」に関する問題では、光路の途中にガラス版を置くという設定がありました。「ドップラー効果」「干渉」というキーワードを中心に様々な設定の問題が出題されています。
3.5 原子
新課程になって2016年に出題されました。「X線の発生」に関する問題で、難易度は高くありませんでした。文章中の空所補充形式の問題と、「以下のように物理量を変化させたときに波長が変化しないものをすべて選べ」、「X線に関する記述として正しい文章をすべて選べ」という選択問題でした。他の問題に比べて明らかに難易度が低いので、今後はもう少し難易度が高い問題が出題されることが予想されます。
4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
4.1 教科書内容の確認
教科書で扱われている現象の理解し、語句の定義を正確に覚え、公式の導出が確実にできるようになることが第一段階です。グラフや図などがある事項については、現象とグラフ、グラフと式の関係も自分のものにしましょう。公式の導出は自分でできるようになって下さい。その過程で物理現象をより深く理解でき、問題を解くうえで必ず大きな力になります。そして、自分で導出ができるようになったら答案を書くつもりで書いてみて、添削してもらうと良いでしょう。教科書以外にも例えば、
『橋元の物理をはじめからていねいに(力学編)』(東進ブックス)
『橋元の物理をはじめからていねいに 熱・波動・電磁気編』(東進ブックス)
などの参考書が、現象や公式の成り立ちについての理解を助けてくれるでしょう。
4.2 基礎問題で解法をインプット
教科書で学習した内容を実際の問題に使う練習です。まずは基礎的な典型問題をできるだけ短時間で解けるようになるのが目標です。この段階の問題演習には、
『物理のエッセンス 熱・電磁気・原子』(河合塾)
などを用いるのが良いでしょう。この段階では自分で問題を解く必要はありません(もちろん、解けるようであれば解いても構いません)。まずは「どのような状況設定の時にどのような解法を使うのかをインプットする」というところに重点を置きましょう。
『為近の物理1・2解法の発想とルール 力学・電磁気』(Gakken)
『為近の物理1・2解法の発想とルール 波動・熱・原子』(Gakken)
などもどのように問題を解くのかを丁寧に解説しているので参考になると思います。解答・解説をしっかり読んで、別解などもしっかりインプットしましょう。問題を見た瞬間に正しい解法が思い浮かぶようになればこの段階は終了です。
4.3 標準問題でアウトプットの練習
次の段階は、大学受験における定番の問題で実際に問題が解けるかを演習していきます。この段階の問題演習には、
『基礎問題精講』(旺文社)
などを用いると良いでしょう。
基礎段階でインプットした解法を、入試標準レベルで正しく使うことができるようになることが目標です。この段階では必ず自分の手で解いてみて下さい。その時には基礎段階で身に付けた解法をどのように活用するのかを意識しながら解きましょう。問題を見た瞬間にどのような解法を使うのか最低1つは思い浮かべられない場合は前段階に戻った方が良いかもしれません。自分が思い浮かべた解法で解けない場合もあるでしょう。その時には解答を見て自分の考えに何が足りなかったのかをしっかりと分析してください。学校の先生など身近にアドバイスをくれる人がいるのであれば、ぜひ聞きに行きましょう。
ここまでの段階を経て、さらに時間的な余裕がある人は応用力を鍛えるために以下の問題集に取り組んでみましょう。時間が差し迫っている人は次の段階の過去問演習に取り組んでください。
『名問の森 波動2・電磁気・原子』(河合塾)
4.4 過去問を用いた演習
最終段階は、実際に過去問を解いてみることです。赤本などを利用して時間を測りながら実際の入試のつもりで解いてみましょう。この段階のポイントは「時間を意識すること」と「問題を解く順番を意識すること」です。前段階までがきちんとできていれば、問題の解法自体は分かるはずです。あとは入試を突破するための実戦力を身に付けます。
実際の入試には制限時間があるので、まずは制限時間内に解くスピードを身に付ける必要があります。 次に、問題を解く順番も意識しましょう。実際の入試では「解ける問題から先に解く」というのが鉄則です。時間をかけて難しい問題を1問解くよりもまずは簡単な問題を短時間で5問解きましょう。実際に入試問題を解いた後に、問題の解く順番も最適だったかどうか確認してみましょう。
「問題文で問われていることを正しく解釈し、自分が知っている解法に当てはめる」ということも重要です。愛知医科大学では特に近年問題集ではあまり見かけない設定の問題が出題されています。このような問題に対応するために問題文で問われていることを正しく解釈し、自分が知っている解法に当てはめる、ということが必要になってきます。過去問演習後には問題に正解したかどうかだけでなく、自分が正しく問題文の意図に添えていたかどうかのチェックもしっかりと行いましょう。
時間がある人は、実戦力と応用力を身に付けるために他大学の入試問題にも挑戦してみましょう。産業医科大学は問題集ではあまり見かけない設定の問題が近年出題されており、愛知医科大学で問われる応用力の部分を鍛えるには良い教材となるでしょう。
この記事があなたの愛知医科大学合格の手助けになれば幸いです。成功を祈っています。
(参考)
愛知医科大学|医学部|教育目標・カリキュラム
愛知医科大学|受験生の方|医学部 学生募集要項・入学試験一覧|2019年度医学部学生募集要項(PDF:7,594KB)