目次
- はじめに
- 概要
- 試験日
- 試験科目・試験範囲・試験時間・解答形式
- 配点
- 出題の傾向と特徴(概要)
- 出題の傾向と特徴(詳細)
- 力学
- 電磁気学
- 熱力学
- 波動
- 原子
- 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
- 教科書内容の確認
- 基礎問題で解法をインプット
- 標準問題でアウトプットの練習
- 過去問を用いた演習
1. はじめに
福岡大学医学部は、福岡市の私立大学です。入試の難易度は、医学部の中では比較的入りやすいのですが、学費は高めに設定されています。「人間性豊かな臨床医の育成」、「地域社会への医療奉仕」、「重点的総合研究体系の確立」という3点を教育理念として掲げており、特に地元九州からの受験生が多いようです。教育目標には下記の5点が記載されています。
1. 将来、どの分野の医療活動にも対応できるだけの幅広い基本的医学知識ならびに技術を修得する(総合的な臨床能力)
2. 生涯にわたって積極的に医学を自学自習できる能力を涵養する(自習性)
3. 研究的態度で問題解決に当たる能力と習慣を身につける(問題解決能力)
4. 患者や医療従事者などと心から理解し合える豊かな人間性を涵養する(人間性)
5. 医療・福祉チームの中心になりうる指導力・協調性を修得する(指導力・協調性)が教育の目標です。
2. 概要
2.1 試験日
一般入試
1次試験:2019(平成31)年2月2日(土)
2次試験:2019(平成31)年2月14日(木)
2.2 試験範囲・試験時間・解答形式
(試験範囲)
・英語:コミュニケーション英語I・コミュニケーション英語II・コミュニケーション英語III・英語表現I・英語表現II
・数学:数学I・数学II・数学III・数学A・数学B(数列、ベクトル)
・理科:「物理基礎・物理』」「化学基礎・化学」「生物基礎・生物」の3科目から2科目選択。
(試験時間)
1次試験
・数学(90分)
・英語(70分)
・理科(120分)※2科目選択
・小論文(60分)
2次試験
・面接
(解答形式)
・英語:記述・論述式
・数学:記述・論述式
・物理:記述・論述式
・化学:記述・論述式
・生物:記述・論述式
2.3 配点
1次試験
・英語(100点)
・数学(100点)
・理科(200点)
2次試験
・小論文、調査書、面接(50点)
2.4 出題の傾向と特徴(概要)
解答時間は理科2科目で120分、大問3題から構成されています。そのうち2題は文章の途中が空欄になっている穴埋め問題で、解答を選択肢から選ぶ形式となっています。力学と電磁気学から大問1題ずつ、熱力学と波動のどちらかから1題という構成ですが、熱力学からの出題が圧倒的に多数を占めています。募集要項には明記されていませんが、原子分野からの出題は少なくとも10年以上ありません。
典型的な問題がほとんどなので、難易度は高くありません。文章の途中が空欄になっている穴埋め問題では1つ間違えるとそれ以降連鎖的に間違えてしまう恐れがあるので、特に慎重に解く必要があるでしょう。標準的な問題集で十分に対応できますが、問題文中の意図に沿って解いていかないといけないので、自分の型にはまった解き方しかできない人は苦労すると思います。問題文の意図に沿うことができる柔軟な思考が求められます。
3. 出題の傾向と特徴(詳細)
3.1 力学
毎年大問1題出題されています。近年出題されているテーマは「エレベーター中のばね振り子」、「地球エレベーター」、「円筒面からの小球の落下」、「斜面上で衝突する2物体」、「運動する台から発射される小球」などで、様々なテーマから出題されています。特にそのテーマを扱ったことがない人でも問題文の意味を適切に読み取ることができれば、特に問題なく解くことができるでしょう。
3.2 電磁気学
毎年1題出題されています。近年出題されたテーマは、「点電荷の作る電場、電位」、「抵抗、コンデンサーを含む直流回路」、「電流計、分流器」、「ばねでつながれた2つの点電荷」、「非直線抵抗を含む回路」、「交流」、「磁場中で回転するコイル」、「電場、磁場中を運動する荷電粒子」などです。基本的な難易度の高くない問題ばかりですが、「点電荷の作る電場、電位」に関する問題では点電荷が作る電位のグラフを描く設問が、「非直線抵抗を含む回路」ではグラフから読み取る設問が出ておりグラフとの関連が問われています。また、受験生が手薄になりやすい電流計・分流計に関する問題も出題されており、各事項をもれなく押さえておく必要があります。
3.3 熱力学
出題がなかった年度もありますが、近年出題されたテーマは「気体の状態変化」、「気体分子の運動論」、「熱気球」、「熱と温度」などですが、「気体の状態変化」に関する問題が多く出題されています。「気体の状態変化」に関する問題では、オーソドックスなP-Vグラフが与えられている設定の他に、P-Tグラフが与えられている設定、気体が封入されたピストン付き容器を縦と横に置く設定など、様々な設定の問題が出題されています。
3.4 波動
出題される頻度は多くありません。直近10年間で出題されたのは、2013年度に「弦の振動」をテーマに、2011年度に「ヤングの実験」をテーマに出題された2回のみです。「弦の振動に関する」問題では次元解析の設問が出されましたが、誘導に従っていれば解ける問題でした。「ヤングの実験」に関する問題は、近似計算があるものの教科書に載っているレベルで、全体としても解きやすい問題でした。今後出題されるとすれば典型的な問題が予想されますので、標準的な問題集の問題を確実に解けるようにしておきましょう。
3.5 原子
募集要項に明記されているわけではありませんが、原子分野からの出題は少なくとも10年以上ありません。今後出題されるとすれば、やはり典型問題が予想されます。こちらも標準的な問題集の問題を確実に解けるようにしておきましょう。
4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
4.1 教科書内容の確認
教科書で扱われている現象の理解し、語句の定義を正確に覚え、公式の導出が確実にできるようになることが第一段階です。グラフや図などがある事項については、現象とグラフ、グラフと式の関係も自分のものにしましょう。公式の導出は自分でできるようになって下さい。その過程で物理現象をより深く理解でき、問題を解くうえで必ず大きな力になります。そして、自分で導出ができるようになったら答案を書くつもりで書いてみて、添削してもらうと良いでしょう。教科書以外にも例えば、
『橋元の物理をはじめからていねいに( 力学編)』(東進ブックス)
『橋元の物理をはじめからていねいに 熱・波動・電磁気編』(東進ブックス)
などの参考書が、現象や公式の成り立ちについての理解を助けてくれるでしょう。図録を持っている場合は図録もしっかりと読んでおきましょう。
4.2 基礎問題で解法をインプット
教科書で学習した内容を実際の問題に使う練習です。まずは基礎的な典型問題をできるだけ短時間で解けるようになるのが目標です。この段階の問題演習には、
『物理のエッセンス 熱・電磁気・原子』(河合塾)
などを用いるのが良いでしょう。この段階では自分で問題を解く必要はありません(もちろん、解けるようであれば解いても構いません)。まずは「どのような状況設定の時にどのような解法を使うのかをインプットする」というところに重点を置きましょう。
『為近の物理1・2解法の発想とルール 力学・電磁気』(Gakken)
『為近の物理1・2解法の発想とルール 波動・熱・原子』(Gakken)
などもどのように問題を解くのかを丁寧に解説しているので参考になると思います。解答・解説をしっかり読んで、別解などもしっかりインプットしましょう。問題を見た瞬間に正しい解法が思い浮かぶようになればこの段階は終了です。
4.3 標準問題でアウトプットの練習
次の段階は、大学受験における定番の問題で実際に問題が解けるかを演習していきます。この段階の問題演習には、
『基礎問題精講』(旺文社)
などを用いると良いでしょう。
基礎段階でインプットした解法を、入試標準レベルで正しく使うことができるようになることが目標です。この段階では必ず自分の手で解いてみて下さい。その時には基礎段階で身に付けた解法をどのように活用するのかを意識しながら解きましょう。問題を見た瞬間にどのような解法を使うのか最低1つは思い浮かべられない場合は前段階に戻った方が良いかもしれません。自分が思い浮かべた解法で解けない場合もあるでしょう。その時には解答を見て自分の考えに何が足りなかったのかをしっかりと分析してください。学校の先生など身近にアドバイスをくれる人がいるのであれば、ぜひ聞きに行きましょう。
この段階の問題を全ての分野・単元で確実に解けるようになれば、福岡大学医学部の入試問題に対応できる力は身についています。ポイントは「漏れを作らない」ということです。福岡大学は、難易度は高くないものの様々なテーマで出題されているので、弱点があったり知識の抜けがあることは致命的になりかねません。
4.4 過去問を用いた演習
最終段階は、実際に過去問を解いてみることです。赤本などを利用して時間を測りながら実際の入試のつもりで解いてみましょう。この段階のポイントは「時間を意識すること」と「問題を解く順番を意識すること」です。前段階までがきちんとできていれば、問題の解法自体は分かるはずです。あとは入試を突破するための実戦力を身に付けます。
実際の入試には制限時間があるので、まずは制限時間内に解くスピードを身に付ける必要があります。 次に、問題を解く順番も意識しましょう。実際の入試では「解ける問題から先に解く」というのが鉄則です。時間をかけて難しい問題を1問解くよりもまずは簡単な問題を短時間で5問解きましょう。実際に入試問題を解いた後に、問題の解く順番も最適だったかどうか確認してみましょう。
時間がある人は、実戦力と応用力を身に付けるために他大学の入試問題にも挑戦してみましょう。岩手医科大学は、形式は違いますが福岡大学の入試で必要な基礎知識の確認にはなるでしょう。北里大学は、福岡大学よりも難易度が少し高く時間の制約もきついので実力をさらに高めるのに適しているでしょう。
この記事があなたの福岡大学医学部合格の手助けになれば幸いです。成功を祈っています。
(参考)
福岡大学医学部|教育理念・目標
福岡大学入試情報サイト|入学試験要項ダウンロード|一般入学試験(系統別日程・前期日程)・センタープラス型入学試験・大学入試センター試験利用入学試験(Ⅰ期・Ⅱ期)要項|入学試験要項