目次
- はじめに
- 入試の概要
- 試験日
- 試験科目・試験範囲・試験時間・解答形式
- 配点
- 出題の傾向と特徴(概要)
- 出題の傾向と特徴(詳細)
- 力学
- 電磁気学
- 熱力学
- 波動
- 原子
- 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
- 教科書内容の確認
- 基礎問題で解法をインプット
- 解法のブラッシュアップと過去問演習
1. はじめに
岩手医科大学は私立大学であり、岩手県唯一の医大でもあります。平成19年には新しいキャンパスを開設し、日本で初めて医学・歯学・薬学の医療系3学部を同一キャンパスに揃えた医療系総合大学となりました。
岩手医科大学は、医学部における人材養成および教育研究上の目的を以下のように定めています。
教育・診療・研究において、主導的役割を担う豊かな人間性を備えた人材を養成する。
人としての教養を高め、医師としての十分な知識と技能を修得させ、発展を続ける
医学に対応する生涯学習のための自己啓発能力を涵養する。
(引用元:岩手医科大学|岩手医科大学における各学部の人材養成および教育研究上の目的に関する規程)
入試問題は基礎的な内容が多く、医学部の中でも難易度は比較的低めですので、絶対に医学部に行きたいという人はぜひ受験してみることをおすすめします。
2. 概要
2.2 試験科目・試験範囲・試験時間・解答形式
(試験科目・試験範囲)
・英語:コミュニケーション英語I・コミュニケーション英語II・コミュニケーション英語III・英語表現I・英語表現II
・数学:数学I・数学II・数学III・数学A・数学B(数列とベクトル)
・理科:『物理基礎・物理』『化学基礎・化学』、『生物基礎・生物』の3科目から2科目選択。
(試験時間)
1次試験
9:00〜10:00 英語(60分)
10:45〜11:45 数学(60分)
13:00〜15:00 理科(120分)※2科目選択
15:45〜16:35 小論文(50分)
2次試験
9:00〜 面接(一人あたり15分程度)(一次試験合格発表時(HP)に面接時間を指定する)
(解答形式)
・英語:マークシート方式
・数学:マークシート方式
・物理:マークシート方式
・化学:マークシート方式
・生物:マークシート方式
2.3 配点
1次試験
・英語(100点)
・数学(100点)
・理科(200点)
・小論文(一次合格者のみ判定)
2.4.出題の傾向
問題の多くは教科書例題レベルの難易度なので、難なく解くことができる問題ばかりですが、難易度が少し高い問題が混じっていることもあります。難易度が低い分、標準的な問題集や入試問題で問われないような基本的なことが問われたりするので、戸惑ってしまわないように問題文をしっかり読むことが必要です。過去問も解いて問題に慣れておきましょう。解答時間の理科2科目で90分という時間内で十分に解き切れるので、ミスなく丁寧に解くことが求められます。
新課程になる2014年度入試以前から原子分野の出題がされていたのも岩手医科大学の大きな特徴です。難易度はやはり教科書例題レベルですが、他大学の原子分野対策として基礎の確認をするには最適な教材となるでしょう。
3. 出題の傾向と特徴(詳細)
3.1 力学
毎年出題されている分野です。2016年度は階段状になっている地形をはね返りながら落下する物体の運動についての出題で、多少の考察 が必要であったため、岩手医科大学の教科書例題レベルの問題を想定していた人は戸惑ったかもしれません。
3.2 電磁気学
力学同様、電磁気の分野も毎年出題されています。2012年度は全3題中2題(一部原子分野)が電磁気分野からでした。回路に関する出題が多く、交流回路に関する問題も出題されています。スイッチのつなぎかえなども含めた典型的な問題は確実にできるようにしておく必要があります。
2015年度にはサイクロトロンがテーマとして出題されていますが、これは「4.試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介」で基礎的な問題演習のための参考書として紹介している『物理のエッセンス』(河合塾)や『入門問題精講』(旺文社)ではテーマとして扱われていません。したがって、基礎的な問題集だけでなく標準的な問題集も含めて手広く演習しておきましょう。
3.3 熱力学
出題される割合としてはあまり多くありません。出題された場合のテーマは気体の状態変化がほとんどでP-Vグラフを用いた問題が多く出題されています。気体が外部にした仕事をグラフ中に示させる設問などもありますが、基礎的な範囲を超えた問題は出題されていません。
3.4 波動
ここ5年以上出題されていません。基礎レベルの問題集を一通り解けるようになっていれば特に問題はないでしょう。あとは受験直前に教科書で物理量の定義や関係式の確認をしておきましょう。
3.5 原子
新課程になる以前から2~3年に1回程度の割合で出題されています。出題テーマは光電効果やX線の発生、X線回折などが多く出題されています。難易度は他の分野と同じく基本レベルです。
4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
4.1.教科書内容の確認
教科書に太字で書いてある用語の定義や公式がきちんと頭の中に入っているか確認しましょう。特に公式についてはどの現象のときにどの公式が成り立つのかが分かっていないと問題が解けません。また、公式を正確に覚えていないと正解にたどり着けません。教科書以外にも例えば、
『橋元の物理をはじめからていねいに 力学編』(東進ブックス)
『橋元の物理をはじめからていねいに 熱・波動・電磁気編』(東進ブックス)
などの参考書が、現象や公式の成り立ちについての理解を助けてくれるでしょう。
4.2.基礎問題で解法をインプット
教科書で学習した内容を実際の問題に使う練習です。この段階の問題演習には、
『物理のエッセンス 熱・電磁気・原子』(河合塾)
などを用いるのが良いでしょう。
この段階では自分で問題を解く必要はありません(もちろん解けるようであれば解いても構いません)。まずは「どのような状況設定の時にどのような解法を使うのかをインプットする」というところに重点を置きましょう。
『為近の物理1・2解法の発想とルール 力学・電磁気』(Gakken)
『為近の物理1・2解法の発想とルール 波動・熱・原子』(Gakken)
などもどのように問題を解くのかを丁寧に解説しているので参考になると思います。解答・解説をしっかり読んで、別解などもしっかりインプットしましょう。最低2周は問題を解いて、典型問題は確実に解けるようにして下さい。
4.3.解法のブラッシュアップと過去問演習
基礎の段階が終われば、赤本などを使って一度実際に過去問を解いてみましょう。前段階までがきちんとできていれば、問題の解法自体は分かるはずです。例えば2014年度のものは典型問題ばかりなので、自分が岩手医科大学の入試でどの程度通用するのか試すのに良いでしょう。一度解いてみて解法が思い浮かばない問題がある場合は前の段階に戻って復習しましょう。
前の段階に戻る必要がない場合は、さらに1段階上のレベルの問題集で演習しましょう。
『基礎問題精講』(旺文社)
などがおすすめです。基礎段階で身に付けた解法をどのように活用するのかを意識しながら解きましょう。また、基礎段階では触れられなかった解法や考え方もあるので、解答・解説もしっかりと読みましょう。この段階は、問題を見た瞬間に解法が思い浮かぶようになり、模範解答が自分で作ることができるようになれば終了です。
この段階で岩手医科大学の過去問を解けばかなり簡単に感じると思います。さらに時間がある人は、実戦力と応用力を身に付けるために他大学の入試問題にも挑戦してみましょう。例えば帝京大学や東京女子医科大学が良いでしょう。
この記事があなたの岩手医科大学合格の手助けになることを願っています。
(参考)
岩手医科大学|岩手医科大学における各学部の人材養成および教育研究上の目的に関する規程
岩手医科大学受験生サイト|入試情報|医学部|入学試験要項PDF版