目次
- はじめに
- 入試の概要
- 試験日
- 試験範囲・試験時間・配点・解答形式
- 出題の傾向と特徴(概要)
- 出題の傾向と特徴(詳細)
- 英文読解
- 英作文
- 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
- Step.1 基本単語・文法の定着
- Step.2 標準レベルの単語、文法問題に取り組む
- Step.3 長文問題に取り組む
- Step.4 自由英作文問題に取り組む
- Step.5 過去問・模擬問題集を用いた演習に取り組む
1. はじめに
順天堂大学医学部は、俗に言う私立医大御三家(慶應、慈恵会、日本医科)に匹敵するレベルの難関大学です。また、学費は2008年度から大幅に安くなり、2000万円程度となっていることから、私立医学部の中では、最も学費が安い大学の一つに挙げられます。難関私立医大の中では、比較的問題の難易度は低い方ではありますが、自由英作文が出題されるなど入試問題に特徴があり、合格するためには、十分な対策が求められます。本学の求める学生像は、ホームページに以下のように記載されています。
順天堂大学医学部アドミッションポリシーより引用:
医学部は、自らの夢を本学での学習と学生生活を通して医学・医療の知識・技能のみならず豊かな感性と教養を自ら進んでアクティブに学び、国際社会に役立つ未来を拓く人間性溢れる医師を養成するため、本学は次の学生を求めます。
一人の人間として,人間と自然を愛し、相手の立場に立つ思いやりと高い倫理観を有する人
幅広い人間性、柔軟性と協調性を備えた高いコミュニケーション能力を有する人
自ら問題を発見し、知的好奇心をもって、自主的に課題に取り組むことができる人
国際的な視点から医学・医療の進歩に貢献しようとする熱意有る人
入学後も、自己啓発・自己学習・自己の健康増進を継続する意欲を有する人
(引用元:順天堂大学|医学部|入学案内|アドミッションポリシー)
2. 概要
2.1 試験日
一般(A方式)
・1次試験:2019年2月4日(月) 会場:幕張メッセ イベントホール他
・2次試験日 2019年2月13日(水)~2月15日(金) いずれか1日 会場:本郷・お茶の水キャンパス
2.2 試験範囲・試験時間・配点・解答形式
■試験範囲
一般(A方式)、一般(B方式)、センター・一般独自併用、地域枠選抜
(1次試験)
・理科 物理「物理基礎、物理」、化学「化学基礎、化学」、生物「生物基礎、生物」の3科目から2科目選択
・英語 コミュニケーション英語Ⅰ・Ⅱ、英語表現Ⅰ・Ⅱ
・数学 数学Ⅰ~Ⅲ、数学A、数学B(「数列」、「ベクトル」)
・小論文 (小論文の評価は一次試験合格者選抜では使用せず、二次試験合格者選抜のときに使用)
■試験時間・配点
一般(A方式)、一般(B方式)、センター・一般独自併用、地域枠選抜
10:00~12:00 理科(120分) 200点満点(各100点)
13:30~14:50 英語(80分) 200点満点(一般(B方式)のみ資格・検定試験25点分と合わせて225点満点)
15:40~16:50 数学(70分) 100点満点
17:30~18:40 小論文(70分)
■解答形式
マークシートおよび記述
2.3 出題の傾向と特徴(概要)
順天堂大学医学部では、マークシートによる選択式問題と自由英作文という組み合わせで出題されます。英文和訳問題や和文英訳問題は出題されませんが、自由英作文は字数制限が無く、相当の文字数を書かなければならないことを考えると、英語の発信力が不足している状態で合格できる試験ではありません。
長文読解は、偏差値が同レベルである慶應義塾大学、日本医科大学などに比べると長文の難易度は高くありませんが、80分という試験時間の中で、自由英作文の他に4題の長文問題(ただし、大問1は2016年からインタビュー形式の会話文)が出題されることを考えると、速読、即解力が不可欠です。さらに、自由英作文の記述量が多く、20~30分はかかることが予想されるので、長文1題を最低でも15分のペースで解かなければなりません。また、長文問題の中には、英文、段落挿入の問題が複数出題され、慣れていないと時間を浪費してしまいます。そのため、時間がかかりそうな問題は後回しにするなどといった対応も必要になるでしょう。なお、英文は医療系のものが多いため、医療系の英文に読みなれておくことも忘れてはなりません。
以上を踏まえ、普段から速読(できれば、医療系のもの)と問題を素早く正確に解く練習をしておくこと、自由英作文を素早く正確に書けるだけの英語発信力、さらにはキーアイディアを瞬時に思いつくことができるように、柔軟な思考力を身につける必要があります。
3. 出題の傾向と特徴(詳細)
3.1 英文読解
・空所補充問題
長文の空所補充問題は、長文の途中の空所に文法や語法の力を活かして解くという問題が一般的ではありますが、最近の本学の問題では、そのような問題はほとんど出題されません。2017年の入試問題でも、大問1に少し出て来るくらいです。また、文法の単独問題も近年は出題されないことから、文法問題集でよくある4択問題などの重要性はあまり高くありません。
しかし、文法が重要でないというわけではありません。文法力が無いと、自由英作文でミスを連発してしまい、得点が伸びないということになりかねません。むしろ、選択式で正答を選べる文法力は超え、正しい文法を用いて英作文が書けるレベルが求められていると考えるべきでしょう。
・内容一致問題
長文問題では内容一致問題が出題されますが、固有名詞があったり、センター試験のように設問に該当する段落が指示されている問題が多いので、比較的解きやすいと感じるのではないかと思います。ただし、設問の数が多いため、素早く解いていかなければ時間が厳しくなる上に、中には解答に迷う問題もあるので、時間がかかりそうだと感じたら思い切って次の問題に進む即解力も重要な要素になるでしょう。1問にこだわって時間が無くなり、10問落とすような事態は避けたいところです。
・同義語問題
同義語問題もかなり数多く出題される分野です。単語力というよりむしろ、文脈を正しく追いながら読めているか、すなわち前後の内容から、ここではこのような意味で使われているということがわからなければなりません。この形式の問題は、以前センター試験でも出題されたことがありますが、多少意味がわからない単語があっても推測できる力が求められていると言えます。日頃から長文を読み、読んだ後に自分の解釈が合っていたかどうか、和訳と照らし合わせることが大切です。
・文(段落)挿入問題
順天堂大学医学部の特徴の一つに、この文、段落挿入問題があります。2017年の入試問題でも、8つの空所のどこに、指定された文が入るかを答える問題が出題されました。1か所間違えると必然的にもう1問落としてしまうため、慎重な判断が求められるのと同時に、繰り返しになりますが、素早い判断が求められます。順番に解くのではなく、解きやすいものから順に答えていくといった臨機応変な判断が求められます。
段落を挿入する問題では、段落と段落のつながりが重要になります。一文ずつ訳すことしかできないレベルを超えると文と文のつながりを意識することができるようになります。それを超えると、段落と段落のつながりを意識した、俯瞰的な読解ができるようになります。その段階に到達すると、この手の問題は解く時間が短くなります。
3.2 英作文
・自由英作文
自由英作文は、英文を読んで英作文を書く形式の問題です。本学の特徴として、字数制限の指定が無いという点が挙げられます。しかし、解答欄が20行以上あることを考えると、最低でも200ワード程度は書くことが要求されていると考えられるので、20~30分程度は時間を割きたいところです。
また、自由英作文の対策本などを利用して、意見を述べ、説明を加える、主張と結論を書くなど論理的かつ明確に書けるように練習をしておく必要があるでしょう。また、英作文では同じ単語を何度も使わないことが望ましいため、類語はまとめて覚えるようにし、表現豊かな英作文を書けるようになることが理想です。
4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
■Step.1 基本単語・文法の定着
長文の量が多いので単語が重要であることは言うまでもありませんが、英単語の意味が言えるだけでなく日本語を英語で表現できるレベルにまで到達しなければ、自由英作文で躓くことになるでしょう。単語帳を暗記するときにも、赤シートで日本語訳が言える程度で済まさずに、日本語訳を見て英単語を答えられるレベルまで学習することを忘れてはいけません。
大変なことだと感じるかもしれませんが、英作文で必要な語彙は高くはありませんし、長文の難易度も高くありません。難解な単語を覚えるよりも、一般的な受験英語をしっかりと使えるようにすることが重要です。したがって、まずは下記に紹介するような単語帳を一通り取り組んでみましょう。
上記の単語帳に加えて、さらに文法の問題集にも手を伸ばしてみましょう。文法の単独問題は近年出題されていませんが、英作文を正しく書けるようにするためには文法力が必要不可欠なので、基本的な文法は理解できるようにしておかなければなりません。
■Step.2 標準レベルの単語、文法問題に取り組む
順天堂医学部で出題されるレベルの長文を読みこなすには、もう一段階上の単語帳が必要になります。下記に紹介する単語帳は、入試標準レベルに該当し、順天堂医学部ではこのレベルまでしっかりと押さえておくことが望ましいと言えます。逆に、難易度の高い単語を必要とする大学を併願しないのであれば、これ以上レベルの高いものに手を出す必要はありません。
文法に関しても、一部の私立医大で出題されるようなレベルの高い文法問題は出題されないため、下記に紹介する程度の文法問題集を解いておけば十分でしょう。問題で正解できるかどうかよりも、和訳を見て正しい構文や文法を用いて書けるかどうかの方が英作文対策としては重要です。
『NEXT STAGE 英文法・語法問題 3rd Edition』
■Step.3 長文問題に取り組む
順天堂医学部を受験するに当たり、長文は最も配点が高く、重要な分野になります。大問4つ(ただし、2016年、2017年の大問1はインタビュー形式の会話文)もあり、自由英作文に20分しかかからなかったとしても、60分で解かなければなりません。ただ、前述したように字数制限が無いということと、解答欄の大きさから推察すると、最低でも200ワード近くは書かなければ高得点は取れないと思われ、大抵の受験生にとって、200ワードの英作文を20分で仕上げることは至難の業でしょう。すなわち、長文をいかに素早く正確に解けるかが、鍵を握ると言えるのです。
一方、英文和訳や内容説明のような記述式問題は出題されない(自由英作文以外はマーク式)ので、速読を重視して演習量を積みましょう。初めのうちはあまり難しいものに手を出さず、自分のレベルに合ったものを選んでください。目安ではありますが、一文に平均して2,3個知らない単語が出てくるようであれば難易度を落とした方が良いと思います。
前者の長文問題集はレベル別に分かれており、レベル1は中学レベルの単語がほとんどなので、長文を読むのに抵抗のある人は、『やっておきたい長文』ではなく、『英語長文レベル別問題集』をおすすめします。『やっておきたい長文』も300、500、700、1000の4段階に分かれていますが、一番下の300でも過去問が使われているので、それなりのレベルが求められます。センター試験の長文が読めるくらいになってから始めた方が効率が良いでしょう。
その他にも、書店に行くと数多くの長文問題集があると思います。順天堂医学部では速読力が重要な要素になるので、CDが付属した教材を買う方が望ましいでしょう。一度問題を解き終わった後に、音読やシャドーイング(音声を聞きながら、聞いた音を反復する練習法)などを行うことで速読力を上げることが期待できるからです。
■Step.4 自由英作文問題に取り組む
私立大学では、和文英訳が出題されるケースは時々見かけますが、自由英作文が出題されるケースは稀なことです。また、和文英訳は日本語が与えられているので、そのまま英訳を書けば良いのですが、自由英作文は内容から自分で考え、文章を構成しなければなりません。また、自由英作文と言っても、大きく分けて①課題に対して、賛成か反対かを答える問題、②課題に対して、自分の意見を答える問題、③会話文に関連した問題があり、書き方も異なってきます。特に、順天堂医学部の自由英作文は、かなり個人的な内容を問う形式になっており、自分の過去のエピソードなどを交えながら解答するという形式となります。
とは言え、何よりも重要なのは正しい英文を書くことができるかどうかです。英作文の添削をしていて思うのが、そもそも自分が言いたいことが表現できていないというケースが多いからです。自由英作文の問題を解くことも重要ですが、日頃の学習を通じて、単語力や表現力を鍛えることが何よりも大切なことだと言えるでしょう。問題集は、以下のものが代表的です。順天堂医学部では出題されないような、会話の一部を埋めたり、賛否を答えるような問題もありますが、表現を身につけるという観点から見ると形式は関係ないので、色々な問題にチャレンジして英語の発信力を鍛えて欲しいと思います。
■Step.5 過去問・模擬問題集を用いた演習に取り組む
一通りStep4まで終了したら、過去問に取り組んでみましょう。自由英作文は一朝一夕で身につかないですし、自己採点が難しいでしょうが、長文問題はマーク式なので、客観的に採点することができます。また、時間配分が厳しい試験なので、時間を測ってどのくらいの時間で終わったかを明確にしておきましょう。オーバーした場合もそのまま継続し、何分オーバーしたのかを記録しておくことが重要です。大幅にオーバーしてしまったら、長文と英作文の時間配分を見直すか、速読アップをする必要があるのではないかと思われます。その場合はStep3に戻り、速読のトレーニングを毎日繰り返してください。速読を鍛えるにはCDを活用した方が望ましいですが、医療系の長文問題を解きたいという場合は、下記の問題集があるので、参考にしてください。
(参考)
順天堂大学|医学部|入学案内|アドミッションポリシー
順天堂大学|医学部|入学案内|2019年度 学生募集要項