目次
- はじめに
- 入試の概要
- 試験日
- 試験科目・試験範囲・試験時間・解答形式
- 配点
- 出題の傾向と特徴(概要)
- 出題の傾向と特徴(詳細)
- 例年の出題傾向
- 合格のカギは計算力と優先順位づけ
- 2017年度入試の講評
- 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
- Step.1 基本事項の完全マスター
- Step.2 入試標準問題集で定型解法をマスター
- Step.3 計算練習用問題集で計算力を磨く
- Step.4 過去問を使って入試本番を想定した演習
- Step.5 過去問を使って対策の仕上げ
1. はじめに
九州地方の私立大学である久留米大学は、私大医学部のなかでは中位くらいの難易度です。しかし試験問題の一部には難問が含まれる場合がある事に加え、合格ボーダー得点率が高いために入念な対策が必要です。
数学に関しては入試標準レベルの典型問題を中心とした出題です。しかし試験時間に対して問題量が多いため、要領よく問題を解き進めなければなりません。
2. 概要
2.1 試験日
一般入試
【前期日程】
1次試験:2019(平成31)年2月1日(金)
2次試験:2019(平成31)年2月13日(水)
【後期日程】
1次試験:2019(平成31)年3月8日(金)
2次試験:2019(平成31)年3月16日(土)
2.2 試験科目・試験範囲・試験時間・解答形式
【前期日程・後期日程共通】
(試験科目・試験範囲)
英語:コミュニケーション英語I・コミュニケーション英語II・コミュニケーション英語III・英語表現I・英語表現II
数学:数学I・数学II・数学III・数学A・数学B(数列・ベクトル)
理科:下記(1)(2)(3)から2科目選択
(1)物理基礎・物理(”原子”の章・編を除く)
(2)化学基礎・化学
(3)生物基礎・生物
(試験時間)
1次試験
9:30〜11:00 英語(90分)
12:10〜14:10 理科(120分)※2科目選択
15:00〜16:30 数学(90分)
2次試験
(前期:10:00〜11:00 / 後期:9:00〜10:00)小論文(60分)
(前期:12:30〜17:00 / 後期:10:30〜)面接
(解答形式)
・英語:記述式(和訳・英訳)・マークシート方式併用
・数学:記述式 ※答えのみ
・物理:記述式 ※答えのみ
・化学:記述・論述式
・生物:記述・論述式
2.3 配点
1次試験
・英語(100点)
・数学(100点)
・理科(200点)
2次試験
・小論文(50点)
2.4 出題の傾向と特徴(概要)
久留米大学医学部の数学は、試験時間90分で大問6~8題の構成です。
出題形式は、文章中や数式の一部に設けられた空欄にあてはまる適切な数値や数式を解答する穴埋め方式です。
問題の難易度は、入試標準レベル~上位私立大学レベルです。出題される問題は典型的で、定型解法を身につけていれば対応できるものが中心です。しかし大問の一部には、解法を工夫しないと時間が掛かってしまう問題や、その場で考えなければならないような問題が出題される場合があります。
本学は試験時間90分に対して問題量が多いため、手のつけやすい問題から優先的に解いて行くようにしましょう。
3. 出題の傾向と特徴(詳細)
3.1 例年の出題傾向
久留米大学医学部の数学は入試標準レベル~上位私立大学レベルの典型問題を中心に構成されています。年度によってその割合が変動しますが、定型解法で解けてしまうパターン問題が多く出題されています。本学の対策を行う際は、少なくとも入試標準問題集を仕上げておきましょう。さらに上級入試問題集まで演習すれば、本番で高得点を狙うことができるでしょう。
特に本学では次の単元が頻出です。
単元別の入試問題集等を使って入念に演習しましょう。
・関数と極限
・微分積分
・図形と方程式
・ベクトル
・確率
3.2 合格のカギは計算力と優先順位づけ
久留米大学医学部では入試標準レベルの問題が中心に出題され、合格ボーダー得点率は例年70%以上となっています。このボーダーを超えることは容易ではありません。
まず本学は90分に対して大問6~8題と制限時間の割りに問題量が多いため、必ずしもすべての大問を解き切れるとは限りません。これに加えて、問題によっては解法を工夫しないと時間が掛かってしまう場合や、その場で考えなければならない場合があります。
よって本学に合格するためには「正確かつ迅速な計算」と「解く問題の優先順位づけ」の2つを同時にこなし、制限時間内に効率よく点数を稼ぐことが重要になります。計算スピードと精度の向上は、一朝一夕にできることではありません。普段の学習の中で、効率が良くミスの出にくい計算方法・工夫の仕方を意識しましょう!
また問題の難易度を瞬時に見抜くには、様々な典型問題を熟知していることが必要です。入試標準レベル問題集を用いて定型パターン問題を解き進めましょう。
3.3 2017年度入試の講評
2017年度の数学入試問題は、90分で大問6題でした。
難易度は平年並みで、教科書章末レベル~入試標準レベルの出題でした。
ボーダー得点率は70%程度と予想されます。
それほど計算の重い問題がなかったため、時間内に全問完答できた受験生も少なからずいたのではないかと思われます。
各大問の講評は次の通りです。
●大問1:不定方程式の整数解
教科書章末レベルの基本的な問題でした。
完答できた受験生が非常に多かったのではないでしょうか。
●大問2:定積分で表された関数の最大値・最小値
入試標準レベルの問題でした。
一見するとf(x)をxで微分して増減を調べる問題に見えますが、f(x)をそのまま定積分計算してcos2xの2次関数とみなす方が簡単でした。
●大問3:数列の項が3桁の整数になる条件と和の計算
入試標準レベルの問題でした。
問題の誘導に乗って空欄を埋めて行けばよいので解きやすかったと思われます。最後の数列の和の計算でミスしやすいので注意が必要です。
●大問4:座標平面上で平行移動・回転する正方形とx軸の交点
難易度は入試標準レベルでしたが、今年の問題では一番考えさせる問題でした。
極形式で与えられた各頂点の動きに合わせて、正方形全体が座標平面上を平行移動・回転する様子を正しく捉えることができたかどうかで差がついたと思われます。
●大問5:反復試行のくじ引きの確率
入試標準レベルの問題でした。
場合の数や確率の問題集で見かける典型問題でした。
●大問6:対数微分法と定積分の計算
難易度は入試標準レベルでした。
(1)は対数微分法を知らないと手がでませんが、それと知っていれば易しい問題でした。
(2)は一見複雑そうに見えますが、3乗根の中身を置換すればよい問題でした。
4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
久留米大学医学部の数学攻略のカギは、解ける問題から手際よく正確に解く力です。ここでは、これを手にするための学習方法について解説します。次のStep.1~Step.5を参考に、学習計画を立ててみましょう。
■Step.1 基本事項の完全マスター
目標:教科書レベルの基本固め
まずは教科書レベルの内容を振り返りです。
はじめのうちは教科書や参考書を参照しながらで構いません。教科書傍用問題集(4stepやサクシードなど)や市販の基本問題集を解いてみましょう。ただ眺めているだけでは意味がありません。実際に手を動かして、基本事項をしっかりと理解できているか確かめましょう!「こんな公式あったかな?」、「そういえば昔、こんなこと勉強したな…」なんて言っているうちは、まだまだです。忘れていた公式はよく復習し、しっかりと頭に入れていきましょう!
数学が苦手な受験生には、次のような参考書がおすすめです。文字だけでなく図解を取り入れた懇切丁寧な解説が載っています。
『高校これでわかる数学I+A』(文英堂)
■Step.2 入試標準問題集で定型解法をマスター
目標:数学IA、IIB、IIIの各単元の入試標準問題の定型解法の習得
教科書の内容をしっかりと習得できたら、次のStepに進みましょう。
この段階では、入試標準問題の中で基本事項をどのように使うかを学んでいきます。
おすすめは、次に挙げるような学習参考書です。
『青チャート』や『フォーカスゴールド』は1冊あたりの収録例題数が200を超え、様々な出題パターンを網羅して学ぶことができます。
しかし「部活動が忙しくてそんなに問題量をこなせない…」、「入試本番まであまり時間がない…」という受験生は、1冊あたりの例題数が150程度とコンパクトにまとまった『標準問題精講』のシリーズを使ってもよいでしょう。
はじめのうちは初見の問題が多いため、解法の糸口が掴めない問題があるかも知れません。
もし5分考えても手が出ない場合は、すぐに模範解答を見てしまって構いません。
あくまでも定型解法を身につけることが目的なので、自分で考えることにあまり固執し過ぎないように注意しましょう!
Step.1と同様に、各分野の例題を何も見ずに解けるようになるまで繰り返し復習しましょう。
ここまでクリアできたら、次のStep.3に進みます。
『新課程 チャート式 基礎からの数学Ⅰ+A/Ⅱ+B/Ⅲ (通称:青チャート)』(数研出版)
■Step.3 計算練習用問題集で計算力を磨く
目標:計算精度の向上&計算テクニックの習得
入試標準問題に対応する力がついたら、次は計算トレーニングです。
次のような計算練習用の問題集がおすすめです。
単に計算スピード・精度を上げるだけでなく、教科書には載っていない計算の裏技を身につけることも出来ます!
『カルキュール数学I・A [基礎力・計算力アップ問題集]』(駿台文庫)
■Step.4 上級入試問題演習
目標:上位私立大学レベルの典型問題を解けるようにする
ここでは過去問演習に入る前の段階の演習を行います。
次に挙げるような問題集ならば、各分野ごとに上位私立大学レベルの入試典型問題を演習することができます。
演習の際には入試本番を想定して制限時間を設けましょう。
入試本番では大問1問に掛けられる時間は15分程度ですから、これを目安に解いてください。
各単元の問題を何も見ずに解けるようになったら、いよいよ最後の仕上げ(Step.5)に入りましょう!
『実戦 数学重要問題集 -数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B』(数研出版)
■Step.5 過去問を使って対策の仕上げ
目標:試験本番で1点でも多く得点できるように時間配分を調整する練習をする
いよいよ本番を想定した演習です。
まずは本番同様に90分計って、過去問を解いてみてください。
はじめからすべての問題に手を付けようとは考えず、優先して解くべき問題を瞬時に見極めることが重要です。
実際に90分計って問題を解き終えたら、自己採点しましょう。
正答率はもちろん重要です。しかし、解けなかった問題について何が原因だったかを解明し、対策を講じることを忘れてはいけません。
その原因が次の項目のいずれかに当てはまる場合は、( )に記載した通りに復習を行いましょう。
・公式を忘れてしまっていたor覚え違いがあった(→Step.1に戻って復習)
・定型の解法パターンを忘れていた(→Step.2,4に戻って復習)
・解けるはずの問題を計算ミスで落としてしまった(→Step.3 & 過去問を復習)
(参考)
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