目次
- はじめに
- 概要
- 試験日
- 試験範囲・試験時間・解答形式
- 配点
- 出題の傾向と特徴(概要)
- 出題の傾向と特徴(詳細)
- 物語
- 日記・随筆
- 説話
- その他
- 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
- 土台を固めよう
- 文章に慣れていこう
- 読解力を身につけよう
- 記述力を身につけよう
- 過去問演習
1. はじめに
京都大学の入試問題全体が非常に難しいため、古文も難しいと思われがちです。ですが、実際はそうではありません。入試問題で問われるのは、現代語訳型と内容把握型の大きく2種類で、一般的な出題です。対策をしっかり取れば、受験生にとって点を取りやすい科目になりますので、ここで点数を稼げるようにしましょう。
とは言っても、京都大学の入試問題だけあって、和歌の修辞法や古文常識などを踏まえて解かなければならない問題が出題されることも多く、しっかりとした古文読解力が求められます。早い時点から対策をはじめ、基礎からしっかり固めることで、どんな難しい入試問題でも解ける実力を身につけておきましょう。
また、記述量が多いのも特徴です。文系入試では、古文全体で12~18行程度の記述を要求されます。1行あたり22~25字の記述量ですので、全体でおよそ250~450字になります。記述問題が多いとされる一般的な国公立大学でも、多くて6~10行程度の記述量であることを鑑みると、京都大学の記述量の多さがわかっていただけると思います。記述対策も怠らないようにしましょう。
では、これから京都大学入試問題古文の傾向と対策について詳しく解説をしていきます。
2. 概要
2.1 試験日
2月25日 | 2月26日 | |
1限 | 国語 | 外国語 |
2限 | 数学 | 地理歴史or理科 |
2.2 試験範囲・試験時間・解答形式
試験範囲 | 国語総合・現代文B・古典B |
試験時間 | 文系120分、理系90分 |
解答形式 | 全問記述式 |
2.3 配点
200点 | 教育学部(文系) |
100点 | 医学部人間健康科学科・薬学部・工学部・農学部 |
150点 | 上記以外 |
2.4.出題の傾向と特徴(概要)
それでは、出題の傾向と特徴についてみていきましょう。入試問題全体で古文の出題は大問1題。2007年度より、文理別に問題が出題されるようになりました。小問は文系4題、理系3題程度が多いですが、小問内で口語訳を複数題させることがあり、実際の問題は通常これよりも多くなります。理系は試験時間が文系よりも短いので、問題数も少なくなっていますが、難易度は大きく異なってはいません。
大問1題あたりの時間は、文系で40分、理系で30分程度です。記述量が多いこともあり、時間設定は厳しいです。そのため、日頃から時間を意識して勉強に取り組んでください。
文量はB5サイズで1~2ページと特に長いものではありませんが、出題される文章は、ジャンル・年代とも多岐にわたっています。古文と言えば、「源氏物語」や「枕草子」など、平安時代に書かれたものが有名ですが、京都大学を受験するのであれば、様々な文章を読んでおくようにしましょう。
3. 出題の傾向と特徴(詳細)
ここでは、入試問題の特徴についてジャンル別に細かく説明を行っていきます。
3.1 物語
「源氏物語」や「竹取物語」などがこれに当たります。京都大学では、平安時代のこのような物語の他に、「苔の衣」や「石清水物語」といった擬古物語や、「唐物語」のような説話物語、「増鏡」のような歴史物語も出題されています。なお、擬古物語とは、鎌倉時代に平安時代の物語を真似して書かれた文章のことを指し、特に源氏物語がよく模倣されています。このように、物語一つとっても、たくさんの種類の文章が出題されています。また年代も、平安~江戸時代までと幅広い範囲からの出題となりますが、近年は鎌倉時代までのものからの出題が多くなっています。
出題方法としては、現代語訳の他に、登場人物の心情を説明させる問題が多く出題されます。それぞれ、主語の把握が大前提となりますので、的確に主語を把握できるように練習しておきましょう。
そのほかの特徴として、和歌がよく出題されていることも挙げられます。和歌の解答に当たっては、修辞法を踏まえて答えることが求められます。記述として問うてくる大学も少ない分野になりますので、意識して取り組むようにしましょう。
3.2 日記・随筆
筆者の日常や考えていることをまとめたものがこれに当たります。具体的には「玉勝間」や「井関隆子日記」などの出題が挙げられ、鎌倉~江戸時代にかけて書かれた文章からの出題が多くなっています。ここでは、現代語訳の他に、筆者の心情や考えを問う問題が出題されます。本文中から手がかりを探すことは当然のことながら、当時の時代背景や筆者の関する事前知識があれば、解答しやすくなります。いわゆる有名所と言われている文章が出題されることは少ないため難しいかもしれませんが、演習時には、内容以外の知識についても覚えておくようにしましょう。
また、この分野においても和歌が出題されることがあります。物語と同様、しっかりと対策を取るようにしましょう。
3.3 説話
仏教説話が多く出題されています。仏教説話とは、仏教の思想や信仰を広めるために書かれたもので、仏や高僧が起こした奇跡やエピソードをまとめたものになります。過去には「発心集」からの出題があります。文章中に教訓が書かれているケースが多く、そこをよく出題されます。読解に際しては、どこがその教訓を述べている場所なのかを意識して読むようにしましょう。
3.4 その他
「百首異見」や「冷泉家和歌秘々口伝」のような、和歌を論ずる文章が出題されています。当然ですが、和歌に関する知識がなければ正確に読むことは出来ません。和歌が出ないケースの方が少ないことを考えれば、ここでも和歌の対策は必要となります。
4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
それでは、ここからは勉強法の解説です。これから5段階で勉強法を解説していきます。それに沿って勉強をしてみてください。ただし、注意点があります。各段階で求められる力には少なくない差があります。問題集が終わったからといって、闇雲に次の段階へ進んでしまうと全然解けないと言うことが起こります。最終的に難しい問題を解かなければならないからと焦るのではなく、自分の実力と相談し、各段階間の往復を繰り返しながら勉強を進めてください。
4.1 土台を固めよう
まずは基礎知識を身につけましょう。古文は日本語と似ていますが、文法や単語で、現代のものとは異なっている点が多くあり、それを知らないと読めません。この段階では、文法と単語の習得に注力しましょう。
4.1.1 単語
現在発売されている古文の単語帳には、ゴロを利用したり、イラストを使って意味の定着を図るもの、語源から覚えるものなど、様々なアプローチで暗記を促すものが多く出ています。自分の使いやすいものを見つけて、暗記し尽くしましょう。
以下、おすすめの単語帳です。参考にしてみてください。
『マドンナ古文単語230』(学研教育出版)
『古文単語ゴロゴ』(スタディカンパニー)
覚える際は眺めるだけでなく、例文を音読することをおすすめします。暗唱できればベストです。
4.1.2 文法知識
現代日本語と異なると言っても、英語ほど多くの相違点はありません。覚える量は少ないので、出来るだけ早く終わらせてしまいましょう。タイプとしては、解説書タイプのものとドリル型のものがあります。どちらか片方にしっかりと取り組めば概ね問題ありませんが、出来れば両方を併用しましょう。さらに理解が深まります。
『基礎からのジャンプアップノート 古典文法・演習ドリル』(旺文社)
『望月光 古典文法講義の実況中継①②』(語学春秋社)(解説書タイプ)
『マドンナ古文 パワーアップ版』(学研出版)(解説書タイプ)
それぞれのタイプで1冊ずつ取り組めば、文法読解において必要とされる文法知識は身につくはずです。ただし、文法の解説書タイプのものに関しては、人によって文体や解説のアプローチにより好き嫌いがあります。買う前に自分が一番わかりやすいと思う参考書かをしっかりと吟味してから、購入するようにしましょう。
文法知識が勉強できたら、次の段階に行きましょう。単語が中途半端でも結構です。単語のような暗記事項は継続が大事ですので、次の段階以降も続けて取り組んでください。
4.2 文章に慣れていこう
前段階で学んだ知識を、文章を読む中で定着させていきましょう。
以下はお薦めの問題集です。
『古文上達 基礎編 読解と演習45』(Z会出版)
『はじめの一歩古文読解問題集』(駿台出版)
また、この段階から古文常識についても覚え始めるようにしましょう。古文常識とは、その文が書かれた時代における風習や固有名詞のことです。古文を精確に読むためには避けて通れない知識となります。文章でそのような単語が現れた際に、辞書で調べるなどして覚えていくようにしましょう。まとめて覚えてしまいたいという場合には、以下のような参考書を利用してください。
『マドンナ古文常識217』(学研出版)
4.3 読解力を身につけよう
ここまでくれば、古文の文章に慣れているかと思います。ここからは読解の練習に入っていきましょう。
解説が充実しているものを選んでいます。しっかり読み込んで、知識の定着と読解の精度向上に力を入れてください。
4.4 記述力を身につけよう
京都大学の古文では高い記述力が求められます。前段階で古文読解力は身についたと思いますので、次は記述に特化して勉強していきましょう。
以下にお薦めの参考書を載せておきます。
『得点奪取古文 記述対策』(河合出版)
また、このあたりで和歌の修辞法について改めて勉強しておくこともお薦めします。前述のように、京都大学では和歌の解釈を求められるケースが多いので、次の過去問演習に取り組む際の理解がより深まります。
以下、お薦めの参考書です。
『和歌の修辞法 荻野文子の特講マドンナ古文』(学研出版)
4.5 過去問・模試による演習
ここまで来れば、かなりの古文読解力が身についていると思います。後は、過去問・京大模試を通じて京都大学の試験で求められるレベルの表現力を養い、練習を重ねていきましょう。
定番の赤本・青本の他に、「京大の国語25カ年」(教学者)も有益です。基本的には直近5~10年程度解いていれば問題ありません。
模試の過去問としては「京都大学への国語」(駿台文庫)、「入試攻略問題集 京都大学 国語」(河合出版)が挙げられます。過去問で演習量は十分ですが、直前期の演習として活用してみるのもおすすめです。