目次
- はじめに
- 概要
- 試験日
- 試験科目・試験範囲・試験時間・解答形式
- 配点
- 出題の傾向(概要)
- 出題の特徴(詳細)
- 微分積分の対策は必須!
- 確率、数列、ベクトルも頻出!
- 新課程の分野からの出題
- 証明、図示問題の対策を抜かりなく
- 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
- まずは教科書の内容を身につける
- 入試標準レベルの問題をマスター
- 難関国公立大学レベルの入試典型問題を解いて記述対策
- 過去問を使って慈英医大の入試本番を想定した演習
1. はじめに
東京慈恵会医科大学(慈恵医大)は、難関私立医科大学の一つ(慶應義塾大学医学部、日本医科大学と並び、俗にいう私立医学部御三家に挙げられることがよくある。)であり、私立医学部の中でもトップクラスの難易度の問題が出題されることで知られています。
慈恵医大の数学は、一部教科書章末レベルの出題があるものの、多くは入試標準レベル~難関国公立大学レベルの問題です。また証明問題や関数の概形・領域の図示問題が毎年出題されることも、慈恵医大の特徴です。
以下、本学に合格するまでのプロセスを詳しく解説していきます。
2. 概要
2.1 試験日
1次試験
2019年2月5日(火)
2次試験
2019年2月15日(金)、16日(土)、17日(日)の3日間のうちの1日
※東京都地域枠入学試験の志願者は2月17日(日)
2.2 試験科目・試験範囲・試験時間・解答形式
(試験科目・試験範囲)
・理科
物理(物理基礎・物理)、化学(化学基礎・化学)、生物(生物基礎・生物)の組み合わせのうちから2つを選択。
・数学
数学I、数学II、数学III、数学A、数学B
ただし、数学Bは「数列」、「ベクトル」を、出題範囲とする。
・英語
コミュニケーション英語I、コミュニケーション英語II、コミュニケーション英語III、英語表現I、英語表現II
(試験時間)
・1次試験
理科:10:00~12:00
数学:13:00~14:30
英語:15:00~16:00
・2次試験
面接:約40分
小論文:60分以上120分以内(1,200字以上2,400字以内)
※試験時間の詳細は1次試験合格発表時に指定
(解答形式)
記述・論述式
2.3 配点
理科:200点
数学:100点
英語:100点
2.4 出題の傾向と特徴(概要)
慈恵医大の数学は、試験時間90分で例年大問4題です。
大問1の小問集合は教科書章末レベルの易しい問題が中心です。しかし、大問と同じくらいの計算量を求められる問題が出題されることがあります。
大問2以降は入試標準レベル~難関国公立大学レベルと難易度が高くなります。慈恵医大の特徴でもありますが、この大問では毎年証明問題や関数の概形・領域の図示問題が出題されています。
試験時間90分間にこれら4つの大問を解き切るには、日頃から計算トレーニングと記述答案の作成練習を積んでおくことが不可欠です。
3. 出題の傾向と特徴(詳細)
3.1 微分積分の対策は必須!
慈恵医大では、毎年必ず微分積分の問題が出題されています。しかも全問題のなかでその比重は大きく、計算量・難易度ともにハイレベルです。
出題例としては、関数の概形・領域の図示問題、媒介変数表示された曲線によって囲まれた図形の面積計算、空間図形の体積計算問題などがあります。
いずれの問題も難関国公立大学レベルの演習問題集で対策を行わなければ完答は難しいでしょう。
3.2 確率、数列、ベクトルも頻出!
微分積分に加えて、確率、数列、ベクトルの分野からの問題もよく出題されます。
詳細は次の通りです。
・確率 : 例年大問1の小問集合の出題されます。難易度は教科書章末~入試標準レベルなので、確実に解けるように対策をしましょう。
・数列 : 大問2以降での出題が多く、平面・空間図形の求積や極限との融合問題が多く見られます。難易度は入試標準レベル~上位国公立大学レベルです。
・ベクトル : 年によって変わりますが、大問1の小問集合と大問2以降の記述問題の両方で出題されています。平面・空間図形との融合問題が頻出です。難易度は基本レベル~上位国公立大学レベルです。
3.3 新課程の分野からの出題
新課程に入り、「複素数平面」や「整数」の分野から出題が復活しました。
また2016年度の入試では、他大の医学部では出題頻度の低い「極形式」、「極方程式」に関する問題が出題されています。
これらの分野は年度の古い過去問を使って対策をしておくと良いでしょう。
3.4 証明、図示問題の対策を抜かりなく
慈恵医大では毎年、証明問題や関数の概形・領域の図示問題が出題されています。
これらの問題は入試標準~難関国公立大学レベルと難易度が高いのに加え、試験時間90分の間にしっかりとした記述答案を作成しなければなりません。
対偶、背理法、数学的帰納法といった証明法を使う問題や、関数形の作図問題などにに普段から取り組んでおくことが大切です。
4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
先に述べたように慈恵医大では難度の高い証明問題や質・量ともにレベルの高い計算問題
が出題されます。
この難関を突破するためには確かな記述力・計算力が必要になるわけですが、これらは一朝一夕に身につくものではありません。大きな目標を達成するためには、小さな目標を段階的に設定しそれらをクリアしてゆくことが有効です。
次のStep.1~Step.4に沿って課題をこなして行きましょう。
■Step.1:まずは教科書の内容を身に付ける
この段階での目標は、基本的な知識と確かな計算力をしっかりと身に付けることです。
まずは教科書の内容を振り返り、教科書傍用問題集を解き進めましょう。
忘れていた公式があればよく復習し、しっかりと頭に入れていきましょう。また、定型問題の解法も繰り返し演習して身に付けておきましょう。
教科書傍用問題集の基本問題を教科書や参考書を見ずに一通り解けるようになったら、次のStep.2に進みます。
■Step.2:入試標準レベルの問題をマスター
この段階での目標は、数学IA、IIB、III各分野の標準的な入試頻出問題の定型解法を身に付けることです。そのために、分野ごとに定型解法が整理された学習参考書を使います。
おすすめは、次に挙げるような学習参考書です。入試本番まで時間のある受験生は、例題数が豊富でボリュームのある『青チャート』や『フォーカスゴールド』よいでしょう。部活動などであまり時間がないかも…という受験生は、例題数を絞ってある『標準問題精講』を使ってもよいでしょう。どの参考書を使う場合でも、各分野の例題を何も見ずに解けるようになるまで繰り返し演習しましょう。ここまでクリア出来たら、次のStep.3に進みます。
■Step.3:難関国公立大学レベルの入試典型問題を解いて記述対策
この段階での目標は、Step.2よりも高い水準の入試典型問題をマスターして慈恵医大の過去問に対応できるだけの力を付けることです。次に挙げるような問題集ならば、各分野ごとに難関国公立大学レベルの入試典型問題を演習することができます。この段階まできたら、入試本番を想定して制限時間内に記述答案を作成する練習をしましょう。入試本番では大問1問につき25~30分程度ですから、これを目安に答案作成しましょう。
慈恵医大では証明問題・図示問題が出題されますから、これらの問題に積極的に取り組みましょう! 各単元の問題を何も見ずに解けるようになったら、いよいよ最後の仕上げ(Step.4)に入りましょう。
■Step.4:過去問を使って慈恵医大の入試本番を想定した演習
この段階の目標は、慈恵医大入試と同じ制限時間内に記述答案を完成させられるようになることです。
まずは本番と同様に90分計って過去問を解き、自己採点してみましょう。
正答率がどれくらいだったかを知ることは大切ですが、模範解答や解説をよく読んで次の項目をチェックすることが肝心です。
制限時間90分以内にすべての問題の解答を終えられたか?
(制限時間内に終わらなかった場合)時間が掛かり過ぎた問題や手が出なかった問題はあったか?
(あったとしたら)どの分野の問題だったか?
その問題の入試典型問題を理解できていたか?
チェックしてみた結果自分のやるべき課題が見つかったら、必要に応じてStep.1~3に戻って復習しましょう。
後日改めて過去問の復習を行い、模範解答のような記述答案を再現できるかどうかチェックしましょう。
(参考)
東京慈恵会医科大学|医学部医学科|入試案内|2019年度 医学科 入学試験概要
東京慈恵会医科大学|医学部医学科|入試案内|医学科入学試験(二次試験)について