目次
- はじめに
- 概要
- 試験日
- 試験範囲・試験時間・解答形式
- 配点
- 出題の傾向と特徴(概要)
- 出題の傾向と特徴(詳細)
- 理論化学
- 無機化学
- 有機化学
- 高分子化合物(合成高分子化合物・天然高分子化合物)
- 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
- 教科書内容の振り返り
- 知識の補強
- 解法パターンの習得と計算力の増強
- 定番問題の習得
- 過去問・模擬試験を用いた演習
1. はじめに
東邦大学医学部は、私立医学部の中では上位〜中堅校の一つで、年々問題数は減っているものの、化学に限らずどの科目でも小問数が多いことが特徴の一つである。問題数が多いため、過去問演習の中で時間の使い方を体得しておくことも重要な対策項目となる。
また、内容についてもまんべんなく出題されるため、教科書内容での取りこぼしは厳禁。教科書傍用問題集レベルは隅から隅まで徹底的に学習し、問題を見た瞬間に瞬時に解答できるくらいまで何度でも繰り返し、詳細な部分まで頭に入れるようにしたい。それほどまでに徹底した姿勢が学力の伸長を助け、合格に導いてくれることだろう。
2. 概要
2.1 試験範囲・試験時間
(試験範囲)
英語:コミュニケーション英語I・コミュニケーション英語II・英語表現I
数学:数学I・数学II・数学III・数学A・数学B(数列・ベクトルのみ)
理科:物理(物理基礎・物理)、化学(化学基礎・化学)、生物(生物基礎・生物)のうち2科目選択
基礎学力:論理的思考能力・数理解析能力等
(試験時間)
1次試験
・英語(90分)
・数学(90分)
・理科(120分)※2科目選択
・基礎学力(60分)
2次試験
面接(40分)
(解答形式)
マークシート方式(基礎学力のみ記述式あり)
2.2 配点
1次試験
・英語(150点)
・数学(100点)
・理科(150点)
2.4.出題の傾向と特徴(概要)
全問マークシート方式で、大問3題の構成となっている。
大問1は毎年小問集合で小問数20-30題程度で、残りは小問10題程度で構成された大問が2題出題される。小問数で換算すると40-50題程度出題されため、問題数が非常に多く、十分な対策をしないと時間内に解くことは難しい。難易度の高い問題はあまり出題されないが、問題数が多く、小問集合でも計算問題がいくつか出題されるので、手際良く処理出来るように訓練する必要がある。小問のレベルは、教科書レベルの簡単な問題もあれば、かなり難しい問題もあるので、時間がかかるような問題はさっと捨てるなどの対策も必要だろう。
出題範囲で見ると理論・有機・天然有機の出題比率が高い。2題の大問は、理論と有機から1題ずつ出題され、大問は2つか3つのテーマに分かれて出題されている。大問で実験問題が扱われる際は、実験手法、操作などに関する設問もあるので、その点も対策したい。無機に関しては、大問で出題されることはほとんどなく、小問集合か各大問の小問で出題される程度である。
3. 出題の傾向と特徴(詳細)
3.1 理論化学
小問集合に関しては、幅広い分野から出題される。知識問題と計算問題はおおよそ半々ぐらいの比率で出題されている。小問集合で出される計算問題は難易度が高くない問題が多いので、簡単な計算問題を数多くこなし、手際良く対応出来るようにしたい。一方、大問で出題される問題では、やや難易度が高い問題も出題されている。滴定に関する問題が多く出題されているため、実験手順や考察問題にも慣れてきおたい。
3.2 無機化学
大問として出題されるようなことはほとんど見られない。小問集合で知識問題や、各大問の小問で問われることが多い。化学物質の性質などが問われることが多い。各化合物を共通する性質で自分なりに整理しておくなどして、知識を整理しておきたい。
3.3 有機化学
小問集合では、有機化合物の名称や構造、性質などの基礎知識を確認しているような問題が多い。教科書の中を細かく覚えていないと意外と足元をすくわれるような問題がある。不斉炭素原子のある分子を選べなどの問題でも、簡単な構造であれば書かずとも頭の中で考えて答えをだせるぐらいにしておきたい。各大問では、他の大学と同様に構造決定の問題が多いが、反応速度や熱化学の問題など理論と関連させるような問題を盛り込むなど、融合問題にしているのが特徴である。
3.4 高分子化合物(合成高分子化合物・天然高分子化合物)
合成高分子化合物からの出題は少なく、糖類やアミノ酸といった天然有機の出題割合が多い。天然高分子化合物で大問1題を作るような年度もある。基本的には知識系の問題が多い。教科書に登場するような知識は、一通り覚えておきたい。高分子の計算問題は、演習経験が少ないと手際良く処理出来ない。
4. 試験対策・勉強法とおすすめ参考書紹介
4.1 教科書内容の振り返り
教科書を用意し、一章ずつ読み込む。入試問題は、原則として教科書から出題される。中には教科書から文章をそのままを抜き出したのではないかという問題さえも登場する。特に各教科書の参考・発展・コラム・実験などは、入試問題の格好の材料になり、出題頻度も高い。東邦大の特徴は、必要とされる基本知識が幅広いことです。教科書に登場するような知識は隈なく、身につけておく必要がある。
ただし、教科書の表現は初学者には少し難しいこともあるので、Step.1では全てを理解する必要はない。この段階では、各教科書の発展やコラムには触れなくても良い。ざっとどんなことが書かれているか整理していくと良い。読んでもすぐには理解出来ないという人は、下記の紹介されている参考書などを教科書の対応する箇所を合わせて読み込もう。また、実験装置や沈殿の色など目で見た方が記憶に残りやすいので、資料集も一冊用意しておくと良い。得た知識をどう使っていくのかについては下記の問題集を利用して、確認していく。
○参考書
『岡野の化学が初歩から身につく-理論化学1-』(東進ブックス)
『岡野の化学が初歩から身につく-無機化学+有機化学1-』(東進ブックス)
『岡野の化学が初歩から身につく-理論化学2+有機化学2-』(東進ブックス)
『フォトサイエンス化学図録』(数研出版)
○問題集
『セミナー化学』(第一学習社)
『リードα』(数研出版)
4.2 知識の補強
東邦大学では、大問1に20-30題の小集合が出題される。難度が高い問題は少ないが出題の範囲は多岐にわたるので幅広い知識力が要求されている。一冊の参考書でざっくり覚えました程度だと厳しい。教科書を丸ごと覚えるぐらいの覚悟で知識を習得していく必要がある。
以下に各単元の注意すべきポイントとオススメの参考書について記載する。
◯理論化学
東邦大では、小問集合で基礎的だがかなり幅広い知識力が問われる。基本的にはマークシート方式の選択問題なので、用語の定義や具体例などを整理しながら暗記量を増やしていきたい。下記にあるような一問一答集も本大学では有効的な対策の一つとなるだろう。
『化学一問一答』(東進books)
◯無機化学
東邦大では無機の出題比率は高くないが、問われるのは化合物の性質や色、反応などの基礎的な知識が多い。教科書に登場する情報は隈なく覚えておきたい。
◯有機化学
東邦大では、構造決定の問題自体は定番問題が中心である。難しい問題に取り組むよりは、定番の問題をいかに迅速に解くか重要である。オゾン分解などのやや難度の高い典型問題も出題されているので、典型問題に関してはしっかりと習熟しておく必要がある。構造決定自体はあまり難しくないが、理論と組み合わせるような問題も多数出題されている。有機化学としての勉強よりも理論化学を学習している時点で、解法パターンの暗記ではなく、自分の言葉で説明できるようになる学習が出来ていれば有機として特別な対策する必要はあまりないだろう。
◯高分子
天然有機化合物の出題比率が高い。小問集合では、かなり幅広い知識が出題されている。教科書お後半なので勉強時期が浅いと手薄になりやすい。大問で登場するような年もあるので、早い段階で集中的に知識を身に付ける必要がある。アミノ酸を含む異性体などが問われることもあり、十分に対策しておく必要がある。
『鎌田の有機化学の講義 三訂版 (大学受験Doシリーズ)』(旺文社)
4.3 解法パターンの習得と計算力の増強
Step.3では、計算問題の解法の習得に向けて学習を進めていく。東邦大の入試問題は、問題分量が多いため、計算問題をいかに効率良く解いていくかは合否を分ける。一つ一つの計算問題は、それほど難易度が高くないため、難しい問題よりは一行問題レベルでも数をこなし、迅速に対応できる対応力を身に付けたほうが良い。下記の問題集や参考書を使い、標準的な計算問題の解法を身に付けていく。計算問題を早く正確に解く計算力も必要とされるため、オススメの計算問題集も下記に記載しておく。単位換算が苦手な人は、入試問題に入った時に思わぬ場所で躓かぬようにこの段階で克服しておこう。
『ゼロから始める化学計算問題』(中経出版)・・・ドリル形式になっているので、苦手な人はこちらを使って練習すると良い。
『化学計算問題の徹底整理』(数研出版)・・・入試レベルの計算問題が良いという場合は、こちらの問題集で練習すると良い。
4.4 定番問題の習得
ここからは実際の大学入試問題を使って、定番の問題の解法を押さえていく。東邦大では、大問で少し難易度の高い問題が出題されることもあるので、どの問題集も標準問題だけでなく、応用問題までしっかりと目を通しておきたい。典型的な問題とは少し形を変えた問題や融合問題も出題されているため、解法パターンも大事だが、各問題でどのような現象が起きているのか、自分の言葉で説明できるようになれるぐらい理解を深めておきたい。
○問題集
『化学の良問問題集』(旺文社)
○参考書
4.5 過去問・模擬試験を用いた演習
4.1〜4.4をクリアしたら過去問演習に入ろう。
『東邦大学(医学部)』(教学社)
本Stepでは下記のように過去問演習を進め、現時点での自分の学力を自己分析することを忘れないでほしい。時間を計って解き、解き切れなかった問題は時間を計らずに最後まで解く。採点後、解説を読み、解き方を理解する。自分には何が足らなかったのか自己分析を行う。自己分析を元に基礎の補強(4.4)を行い、次年度に進む。
過去問をある程度進めたら、自己分析を元に、同時並行で弱点補強を進めよう。この時期に赤本や難しい問題ばかりに手を出したくなるが、大事なことは難しい問題が理解できることではなく、合格点を取ること。忘れていた知識を整理したり、計算のスピードや正確性を磨くことが意外と合格への近道だったりする。ちょっとした問題に足元をすくわれないようにしっかりと足場を固めよう。